ASSW2015 / April 23-30, 2015 Toyama International Conference Center, Toyama, Japan

組織委員会委員長挨拶

日本の北極研究は、ノルウェーのスバールバルなどに観測拠点を設置したり、調査船を用いた研究が進められるなど、これまで多くの研究機関や大学で精力的に研究が進められてきました。また、日本は国際北極科学委員会(IASC)のWGやCouncilに委員を派遣しており国際舞台でも存在感を示してきました。今回のASSW2015では主催団体であるIASCの設立25周年の節目にあたるほか、10年に一度将来計画について話し合うICARPⅢが同時開催されますが、北極圏国でない日本がこのような重要な年にASSWの開催地として選ばれたのは、これまでの日本の実績と貢献が高く評価された結果であると考えています。

近年の地球温暖化に関する研究では、北極域は今後も地球上で最も気温の上昇幅が大きい地域の一つと予測されており、その北極域の変化が日本など中緯度の気候にも影響を及ぼすことが懸念されています。 その一方、北極海の海氷減少に伴い北極海を新たな航路として活用できる可能性が出てくるなど経済の観点からも関心が寄せられています。このように世界の研究者や関係機関が北極域を注視している状況の中、日本では2011年からグリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)北極気候変動研究事業が開始され、北極研究者のネットワーク組織である北極環境研究コンソーシアム(JCAR)の活動が始まるなど、今ALL-JAPAN体制での北極研究推進の機運が高まっているところです。ASSWを日本で開催することは、日本の取り組みを改めて世界の研究者や関係機関に示すこととなり、多くの関係者の参画を促し日本の北極研究を一層発展させることにつながると期待しています。

開催地である富山は美しい自然と文化に恵まれた土地であり、また国内で初めて氷河が確認されたり雪の大谷に代表される世界屈指の豪雪地帯として知られ、雪や氷がとても身近な地域です。富山県、富山市の関係各位はもとより、日本学術会議や北海道大学、国内の北極研究を推進している関係諸機関の協力を得て、期間中多岐に渡る北極の議論が行われる予定です。ASSW2015の開催が北極について理解を深める良い機会になることを願っています。

ASSW2015組織委員会委員長
白石和行